新工場竣工をきっかけに、さらなる高品質を目指す
「新工場ができるまでのセイバンは、ランドセルの工場が3つに分かれていたため、トータルでの品質管理が難しい状況にありました。しかし、2020年に3つの工場と本社が１つに集約されたことで大きく改善されました。すべての生産工程を一元管理できるようになり、たとえ生産部分で何か問題が発生したとしても、品質管理の人間が現場でタイムリーに問題解決できるようになったんです」（M.Y）
「ランドセルの品質管理をするうえで、“不適合品流出ゼロ”という目標はこれまでもあったのですが、新工場完成をきっかけに改めてその目標を高めていこうという動きになりました。“不適合品流出ゼロ”というのは、生産現場においてはとても高い目標です。それでもそこを突き詰めていくのは、“子どもたちと、そのご家族の笑顔のために”という、セイバンのものづくりへの思いがあるから。ランドセルの箱を開けた時、ランドセルにもしキズが入っていたら子どもたちにとって残念な思い出になってしまう。お客様を笑顔にするためのランドセルなので、たとえ何万件に1件でも、お客様に残念な思いをさせないように徹底したいんです」（I.K）
品質を高めるためには、ランドセル職人の育成が欠かせない
「ランドセルの品質をより高めるためには、ランドセル職人の教育・育成は欠かせません。これまでは紙の作業手順書で確認していたのですが、わかりづらいものだったので、工程ごとに動画手順書を作成しました。初めて作業される方には、動画手順書を確認してもらってどこを改善すべきなのかを理解してもらうなど、的確に指導できることが大きいと思います」（I.Y）
「品質管理の新しい取り組みとしては、基幹システムに集約されている不適合の情報を収集し、分析ツールを用いて不適合の情報を集計・分析することです。そうすることでランドセルが完成した時の最終検査だけではなく、どの工程で、どのような不適合が発生しているのかをデータベース化して、生産グループにフィードバックすることができます」（M.Y）
「生産グループでは、フィードバックをもらったデータをもとに、作業改善・技術の再始動を行っています。その中でも次工程検査の指導を徹底しています。“自工程検査”というのは、自分が作業をした後の検査のことで、自分の作業にしっかりと責任を持つということです。自分の作業が終わったら“次工程の職人”へとパーツが渡っていくわけですが、気持ちとしては直接“お客様”に渡るつもりで作業をしよう、と意識付けをしています。これまでは、自分が不適合を発生させていたことを理解しないまま作業工程が進んでしまうことがあったのですが、データを分析しながら自工程検査を徹底することで、不適合品の後工程への流出は年々減少しています」（I.K）
品質管理でさらに高みを目指すために
「動画手順書を作成して、ランドセル職人の教育・育成に取り組んでいますが、現状では不適合を未然に防止するよりも発生後の対策になってしまうことがあるので、課題だと感じています。これからも動画手順書の改訂を続けていくことで、最終的に不適合品流出がゼロになり、お客様により良い品質のランドセルをお届けできたらと思います」（I.Y）
「生産グループとしては、品質管理を徹底しながらもランドセル職人のみなさんが働きやすいような仕組みづくりが大切だと思っています。生産グループがうまくいくことで、不適合品の後工程送りゼロ、不適合品の外部流出ゼロという目標に近づいていけると思っています」（I.K）
「不適合品流出ゼロというと、生産グループと品質管理だけの対策になってしまいがちなのですが、これからはもっと大きな視点で対策できればと考えています。例えば、使用する生地が硬いから不適合がどうしても増えてしまう、ランドセルの設計が複雑だから不適合が増えてしまう、など、企画や開発グループのメンバーとも密に連携をとりながら、全社で“お客様の笑顔のために”という共通意識をもって品質管理できればと思っています」（M.Y）
